Vol.2 舵取り装置の点検、修理
分解記録簿の点検項目にハンドルの操作具合の点検が有ります。
私たちメカニックは、正常なオートバイのハンドル操作感覚が解っているので、
まずはサービス工場に車両をいれるときに押しながらバイクのハンドル操作を確認致します。
今回は明らかに、異常が有るバイクの不具合をご説明いたします。
メインフレームとフロントフォークの間にある『ステム』、『三つ又』とも言われています。
そこに挿入されているのが『ベアリング』です。
この『ステムベアリング』はバイクの操安性にもっとも重要な部品の一つになります。
自転車を運転している時に手放しで運転した経験がある方は解ると思いますが、
手放しをした状態で左右にハンドルを切ると、ハンドルが勝手に倒しこんだ方向へ切れ込んでいく状態を
『セルフステア』と言い、車体が曲がって行く状態をきっかけ作っています。
その動きをスムーズにしているのが『ステムベアリング』になります。
『ステムベアリング』が動かないと、曲がれなくなったり、まっすぐ走ったりできなくなります。
今回、ご紹介するのはかなり重症な症例です。
錆びついているのが、解ります
これでは、正常な動きが出来ません。
特殊工具でこのボールとコーンレースを取外します。
左が新品 右がグリスが固まり、錆びついているコーンレースやボール、
ボールも真円では無く変形しています。
新品に打ちかえて、綺麗なグリスを塗布します。
これで、規定トルクで組み付ける事により、正常なハンドリングになります。
ボールベアリングの他にこの様なベアリングもあります。
整備点検では最も重要な事です。
点検で異常が無くても、定期的なグリスアップは勧め致します。